続 ・ DSDWrite で作った音で演奏してみた
こんにちは。 Signal compose の leico です。前回の記事では、自作のプログラムでさまざまなファイルを音に加工してみました。
A を B として知覚させる : DSDWrite の例:https://si-partners.net/blog/dsdwrite-01.html
今回は加工した音を用いて演奏をしてみました! こちらです↓
ライブのプロジェクトファイル(高音質ノイズ素材つき)も公開予定です。
この曲で使っている音について
本当に全て DSDWrite で書き出した音を用いています。
だいたいの音は大雑把に選択した範囲の再生速度を遅くしたり速くしたりしながらエンベローブと加えてフィルタで加工すれば目的に近い音がつくれます※。
完全に理想どおりな音を作ることは難しいです。ですが理想に近づけてもなお残る波形の個性こそが、特定のジャンルに囚われないものを生み出すのだと思います。
※波形によって向き不向きは存在します。
音の元になったファイルについて
今回は以下のアプリを音源に変えて素材にしました。素材にした時の音も合わせて紹介します。
- Ableton Live 10 Suite.app
- Max8.app
- Arduino.app
- Audirvana.app
変換した中で Ableton Live がとても豊かでした。この変換ファイルだけで5曲くらい作れそうな気がします。他のファイルたちもそれぞれ個性的なノイズや反復パターンを持っていますね。
利用しているエフェクトについて
全て Live 10 Suite 付属のものです。
- Compressor
- EQ-Eight
- Limitter
- Simpler
- Drum Rack
- Wavetable
- Utility
どんな加工をしているのか

一番激しいところでこんな感じです。基本は再生させてフィルタを通して音量を調整しているだけです。
これはリズムを刻むパートなのでコンプレッサーなどが入っていますが、

他はこのように再生させてフィルタを通しているだけです。だけですが・・・
再生させている音程は元の音よりもかなり変更しています。warp 機能は切っているので、音程を変えると再生速度も変化します。

1つだけ例外があります。シンセっぽい音のパートは Wavetable というウェーブテーブルシンセを利用しています。
ウェーブテーブルシンセというのは特定の波形データを音源にしたシンセサイザーです。
もちろん元となっている波形は DSDWrite で変換したものを使っています。
パターンを打ち込む
パターンを Ableton Push2 を使って生み出していきます。途中音同士の食い合わせなんかも確認しながら、素材の中から鳴らす場所を探っていきます。食い合わせの関係で、前回変換した音源たちは全滅、不採用になりました。
展開を考えたりもしつつ、パートをまたいでパターンを重ねたりなくしたりします。
演奏する
で、俺が生まれたってわけ↓
深い話:音と圧縮
圧縮が難しいファイルってどのようなデータの並びになっているでしょうか? 圧縮後のファイル=それ以上圧縮が難しいファイルを音に変換するとだいたいホワイトノイズのようなものになります。これはファイルの中にあるパターン、反復が圧縮されるからです。0 を20 個書くよりも、 20 x 0 と書いたほうが簡潔に伝わる感じです。このように圧縮された状態のファイルは、パターン化している部分、反復している部分がファイル内から消えていきます。つまりランダムな羅列=ホワイトノイズに近くなっていくのです。
僕たちは反復やパターンを音程やリズムとして捉えます。音程とは周波数、1秒間に何回反復したかであり、リズムもまた同じパターンが何回繰り返されるかによって捉えることができます。つまり、圧縮されていないファイルほど、音楽的になる可能性があり、実際圧縮されていないファイルほどおもしろい音が鳴ると経験的に感じています。
macOS のアプリはフォルダでできていてそのままでは 音に加工できません。できるのですが、フォルダだけを音に加工してしまいます。なるべく圧縮せずに音に変換する方法として、今回 tar でまとめてから加工する、という方法を思いつきました。
昨今 tar だけで利用することは本当に稀、大概は tar.bz2 や tar.gz など何かしらの圧縮を行うのですが、旧来の仕組みが変な形で役立つときがあります。以下のようなコマンドで tar 形式にアーカイブしてから音に変換しています。
$ tar -cvf /Applications/Live10.app ~/Live.tar
枯れた技術の水平思考という横井軍平の思考がありますね。似たような方法で僕は古いプログラムやライブラリを変な方法で利用することがあります。今回は狙って、というより偶然思いついた感じですけれど。
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シグナル・コンポーズでは音楽制作、Max/Max for Liveデバイス制作など、各種テクニカルなコンサルティングやディレクション、R&D、プロトタイピング、制作などお受けしています。何かあればお気軽にお問い合わせください。お待ちしております。
執筆:大石桂誉
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